冠動脈インターベンション(PCI)
カテーテルを使った血管を広げる治療
カテーテルと呼ばれる細い管を用いて冠動脈の疾患のさまざまな治療を総称してPCI(ピーシーアイ)といいます。
PCIは体に大きな傷をつけることなく、冠動脈の狭くなった部分を広げることができる体に優しい治療法です。
バルーンを用いて血管を広げる(PTCA)
先端に直径2~3ミリ、長さ2センチくらいのバルーンと呼ばれる小型風船がついたカテーテルを血管の狭くなった場所まで挿入し、バルーンを膨らませて血管の狭くなった部分を内側から押し広げます。この風船は圧力がかかり過ぎても破れることはありません。しかし、バルーンの治療のみでは、再び血管が狭くなってしまう再狭窄や、血管を広げた直後に急性冠閉塞がときに生じることがあります。
ステントを用いて血管の内側から支える
再狭窄や急性冠閉塞が起こらないように、バルーンで広げた狭窄部にステントと呼ばれる金属の細い筒を入れて内側から広げた部分を支えます。これにより、急性冠閉塞もほぼなくなり、再狭窄になる危険性も大幅に減少しました。また、病状に応じて、再狭窄の確立が極めて少ない薬剤溶出ステントも使用しています。
治療の流れ
【治療前】
- 治療前の食事は絶食となりますが、2時間前に200mlの水分をとります。
- カテーテル室に行く前までに尿の管を入れます。
- 3時間前に点滴を開始。薬剤師から薬の説明があり、化膿止めの薬をのみます。
【治療中】
- 治療用ベッドに仰向けになります。同じ体勢が長時間続くので、何かあればスタッフに声をかけてください。
ベッドは低反発素材のマットを使用しています。腰痛のある方にも比較的楽に治療を受けていただけます。 - カテーテルの挿入部を消毒したあと、局所麻酔の注射をし、カテーテルを心臓の冠動脈まで挿入します。
- カテーテルの先端が冠動脈に届いたら、造影剤を使って血管の狭くなった部分がどこかを調べます。
- 血管の狭くなった場所にバルーンやステントを挿入し、血管の狭くなった部分を内側から押し広げます。
- 血管が広がったことを確認後、カテーテルなどをすべて取り除き、止血します。
【治療後】
- 採血、心臓超音波検査、心電図検査をします。
- カテーテル挿入部が止血するまでしばらくの間、安静となります。 挿入部位と安静度の詳細はこちら
カテーテル挿入部位と安静度について
挿入部位は、治療目的と患者さまの状態によって異なります。
大腿動静脈(足の付け根)
足のつけ根にある血管は太いため、太いカテーテルを挿入する場合や複雑な検査や治療を行う時も使われます。ただし、カテーテル挿入後の止血に時間がかかり、約6時間の安静が必要となり、足を曲げたりすることもできません。
上腕動静脈(肘の内側)
肘の内側にある血管は大腿動静脈ほどではありませんが、比較的太い血管なので、ある程度の太さのカテーテルを挿入する場合や大腿動静脈が使えない場合に使われます。カテーテル挿入後すぐに歩くことはできますが、しばらくの間、肘を伸ばした状態で固定します。また上腕動脈の近くに神経があるので、これに障害を与えないような注意が必要になります。
橈骨動脈(手首)
手首の血管は、止血の痛みや時間も少なく、検査・治療後の運動にも制限がかからないなど患者さまの苦痛が最も少ない部位です。しかし、血管そのものが細いため太いカテーテルは使えません。
福井厚生病院 循環器センターでの症例
突然襲ってくる心筋梗塞
福井厚生病院は県産業会館の隣にあります。 県産業会館では週末様々な催しものが開催され、県内外から沢山の人が訪れます。本症例も県外から展示即売会に参加されている最中に具合が悪くなり来院されました。
来院時には胸痛があり、冷汗を認め、血圧低下を来たしていました。心電図から急性心筋梗塞の可能性が高いと判断し、緊急冠動脈造影検査(CAG)を行った結果、左冠動脈の前下行枝近位部で血管が閉塞していました。冠動脈は心臓の筋肉を養う血管で合計3本あり、それらが詰まると心筋が壊死してしまい、心不全、その後死につながる非常に危険な状態になります。 治療は閉塞した冠動脈の血流を再開することで、血管内にできた血栓を吸引、回収した後ステントとういう金属の筒を血管内に植え込みます。
本症例は運よく、心筋梗塞発症から1時間以内に治療できたので後遺症はほとんどなく1週間で退院となりました。
ただこのような症例ばかりではなく、発症してから時間がたってしまうと心臓に重い障害を残すことがあるので、血管が閉塞する前に治療することをおすすめします。階段を上ったり、重いものを持ったりした時に胸の違和感や動悸などがあった場合、速やかに循環器内科を受診してください。